初めに


 日本における理容店、そして美容店は、生活衛生業種に属しています。かつては環境衛生業といわれ昭和32年に公布された「環境衛生関係営業の適正化に関する法律」、いわゆる「環衛法(現生衛法)」の下で公衆衛生の維持向上を担ってきました。 私たちが提唱する理容師憲章「私たち理容師は、理容師法第一条に則り 国民生活の衛生と安全を守るために存在する」という理念も、理容師法第一条第一項「この法律は理容師の資格を定めると共に 理容師の業務が適正に行われるように規律し、もって公衆衛生の向上に資することを目的とする」という法律に裏打ちされています。
 
80年に世界を襲ったエイズ渦を契機にウイルス性感染症への対策が進み、HBV、HIVに対応できる消毒法の確立に向けて研究を重ねました。理容師法施行規則が改正され、消毒用エタノール、塩素系消毒薬が加わりましたが、これまでの塩素系は金属腐食を起こすため思うように使用できませんでした。今回、提唱するフィリオ30は、その欠陥をクリアし、なおかつ広汎な消毒が可能になるものです。
 
さて、この理美容店における消毒システムの考察について述べる前に、理美容師として最低限守るべきことをまず述べておきましょう。
 
1,お客様毎の手洗いをしない?
 お客様毎に手を洗うことは非常に大切です。本来、店舗内に手洗いがない施設は理美容店とはいえないのですが、それが大手を振って営業していることに一体、理美容師法はどうなっているのかと疑問を持っています。インフルエンザの感染防止に手洗いの徹底が叫ばれるのも、手についたウイルスが口から入るからです。ファーストフード店の入り口に手洗いを設置したら、かなりの感染を防ぐことができるでしょう。手というものは何でも運ぶことができます。ウイルスもバクテリアも他の病原体も運んでしまうのです。
 
2,シザースケースを使用する?
 近年、流行しているシザースケースですが、布や革などで作られたケースに鋏や櫛などを入れておくことは保健所では不許可とされています。作業毎に鋏などを消毒したとしても、布などに白癬菌などをはじめとする細菌類が店内感染を起こす可能性があるからです。
 
3,シェービング時にはマスクをしない?
 シェービング時のマスクを嫌がるお店が増えています。おそらくファッショナブルではないことに起因しているのではないかと思いますが、お客様側から見たらどうでしょう。毎年流行するインフルエンザへの危機感は募るばかりです。マスクをすることで信用が高まると思いませんか。実際、飛沫感染や呼吸時における空気感染の危険性があるのです。インフルエンザウィルスや結核菌などの感染を防ぐために、マスク装着は保健所にて義務付けられているのですから。
 
4,シェービングにゴム皿を使う?
 剃刀の泡を取るものは、使い捨ての紙にしてください。ゴム皿やスポンジなど使い回しできるものは、劣化した割れ目などが菌やウィルスの温床になる危険があります。消毒液など用いても、消毒は不完全なままです。
 
5,血液負荷タオルの分別管理をする
 血液が付着したタオルは、別に管理しなければならなりません。そのまま洗濯機などに入れてしまうと、他のタオルも感染源になってしまいます。血液の付着があるタオルは必ず専用容器にて保管してください。
 
 情報過多の時代、業界において衛生に対する姿勢が問われる事象が起きたと仮定しましょう。その時に、上記の行為は社会に姿勢を判断される踏み絵的な要素になり、それは好奇な目で情報社会に曝されることになります。それは普段の営業の中、お客様という社会の目の前で行われている判りやすい行為だからです。だからこそ、そこには言い訳もできません。優れた作用の消毒剤や消毒器やシステムも裏方的な行為であり、最低限のルールが守られてこそ成り立つのです。そこには高級店も低料金店も、組合員店も員外店も関係はなく、ルールの上にのみ成り立つと考えなければなりません。これは、理美容師という国家資格を有する業界という視点で見なければならないのです。
 

・フィリオと複合消毒について


 
複合消毒システムにおける洗浄消毒には、フィリオ30という緩衝生成法による高濃度500ppmの弱酸性次亜塩素酸水を使用いたします。フィリオ30の性質と、複合消毒において使用する理由は下記「・塩素系消毒剤について」にて他生成法のものと共に述べさせて頂きます。理美容店においては法定消毒が義務づけられています。「複合消毒システム」は法定消毒薬でもある塩素系消毒薬に属するフィリオ30(原液500ppm)を用いた「洗浄消毒」というプロセスと共に、法定消毒を尊守することで互いに効果を発揮するのです。システムは洗浄消毒として「第一次洗浄消毒」、そして法定消毒を消毒作用/目的毎に別けて「第二次基礎消毒」「第三次保管消毒」と、より公衆衛生としての現場を意識した複合的なプロセスで成り立っております。


まず洗浄消毒というプロセスの意味としては、第二次基礎消毒の効果を高めることにあります。消毒対象物に付着した血液、汗などや、細菌/ウィルスなどの有機体を洗浄し、第二次基礎消毒へ繋げる事が目的となります。その結果、基礎消毒で使用するエタノールなどの作用効果を高め、その溶液内の汚染を最小限にするものとする事となります。この場合の「洗浄」とは、有機体の蛋白質をフィリオ30の作用により分解してしまうことを意味し、流水によるものだけではありません。補足になりますが、医療現場でも使用されるグルタラール消毒薬は、厚生労働省により「対象物を60分以上流水にて洗浄してから浸漬する事」とされております。これを怠ると、薬液作用により細菌/ウイルスの外層蛋白質を硬化させてしまい、その後の消毒作用に大きく影響を与えるからです。結果的に浸漬容器の消毒液内は汚染され、消毒液内における二次感染を引き起こす可能性があります。そのような事からも、理美容店においても洗浄消毒は大変重要な意味を持つと考えております。
 
フィリオ30の原液500ppmを「危機管理濃度」として使用し、対象物の血液負荷状態を想定しています。血液を想定するという事は、蛋白質汚染であり、その先には汗なども含まれると考えてください。対象物の使用状態/目的により100ppm(五倍希釈)を「衛生管理濃度」、50ppm(十倍希釈)を「衛生環境濃度」として、水で希釈して使用いたします。「衛生管理濃度」「衛生環境濃度」は、対象物へ直接噴霧して使用いたしますが、危機管理濃度として500ppmの原液を使用する際に、システムの特徴として「ティッシュペーパー」を使用する事にあります。実際の作業を例にいたしますと、まず使用済み剃刀を流水で洗浄をします。その後、剃刀をティッシュペーパーで挟むように包み込み、フィリオ30を満遍なく十分に噴霧します。放置後に、ティッシュペーパーで余分な水分を拭き取り後に廃棄して、剃刀は第二次基礎消毒「エタノール溶液浸漬」へ移行となります。多枚刃などの剃刀でも、挟んだティッシュペーパーに満遍なく十分に噴霧する事により、対象物に次亜塩素酸が密着して浸漬効果となります。放置後の剃刀などについた水分をティッシュペーパーで拭くことができ、作業工程も容易となるわけです。従来は水分を拭く作業には清潔な布などが指定されておりましたが、ティッシュペーパーであれば使用毎の使い捨てとなります。ウェットティッシュよりもコストは安くなり、使用するフィリオ30も平均5cc程で済む為にコスト的にも優れております。容易な事とコストは営業形態問わず重要な事であり、継続性に繋がるシステムといえます。
 
第二次基礎消毒は、法定消毒に準じます。ただし、細菌/ウイルスに対する消毒効果が高いものだけとしております。基礎消毒としては「エタノール溶液」「塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム:塩素系漂白剤)」「煮沸消毒」によるものとし、濃度/作用時間/使用条件は法規に従います。「エタノール」は細胞/ウィルスの脂質二重膜などを効率良く浸透し、内部作用する76.9%から81.4%溶液に10分以上浸漬させます。「次亜塩素酸ナトリウム:塩素系漂白剤」消毒法においては血液付着により使用濃度が変わります。塩素系消毒薬においては、下記で参照してください。「煮沸消毒」は沸騰後二分とありますが、HBVガイドラインにおける15分以上とさせていただきます。
 
第三次保管消毒も、法定消毒に準じます。ただし、HBVなどの不活性化作用が認められない(疑わしい)と考えます「逆性石鹸」「流通蒸気消毒」「紫外線消毒」は、消毒済器具の衛生保管と維持を目的としております。「逆性石鹸」は、陽イオン界面活性剤です。細胞膜を構成するリン脂質は周囲の陽イオンや水とバランスを保って存在しておりますが、大量の陽イオン界面活性剤によりバランスが崩され、細胞膜は崩壊してしまいます。結果的に、細胞膜を失った細菌は、溶菌となるわけです。しかし、細胞膜を持たない「ウイルス」には原理から考えても効果がないなど、消毒対象範囲が狭い事から消毒済器具の保管液として使用します。「流通蒸気消毒」とは、理容店におけるスチーマー(蒸し器)です。ホットタオルウォーマーではないので注意してください。80度以上の蒸気に10分間とありますが、やはりHBVの不活性化が難しい環境下である為に、消毒済タオルの衛生保管器として考えます。「紫外線消毒」は紫外線消毒器です。20分以上の照射と定めており、理美容店の業態によってはメイン消毒器として使用している場合もあります。照射面のみしか殺菌効果が無く、20分という対象器具の放置時間を考えますと、紫外線消毒器単体による細菌やウイルスの店内感染を防ぐ事は不可能となります。「紫外線により殺菌された衛生的空間」に消毒済器具を保管する、として複合消毒システムでは保管器として考えます。
 

・塩素系消毒剤について


塩素系消毒剤の主成分である次亜塩素酸においては主に次亜塩素酸イオンOCl-として存在しますが、溶液のpH(H水素イオン指数)によって溶液中の水素イオンが増加~酸性に傾くと非解離型次亜塩素酸HClOへとなります。非解離型はpH6.5弱酸性域で多く占め、その割合は約98%になります。非解離のほうが消毒力も酸化力も強いので、この状態にする為に幾つかの生成方法があります。
 
一般的なのは次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めて弱酸性域に近づける方法ですが、生成される水溶液はpH8からpH9のアルカリ性域となります。一般的に家庭用塩素系漂白剤を使用しますが、同じ塩素系漂白剤でも数種類あります。それは「メディカル」「病院用」「家庭用」「台所用」の種類です。「メディカル」は本来の消毒剤としての製品で、医療用として理美容師では購入する事ができません。「病院用」「家庭用」は理美容室で使われるもので容易に購入でき、大きな違いはないと思われます。「台所用」は洗浄成分が加えられており、保健所によっては使用が認めらていない場合があります。家庭用漂白剤原液の場合はpH10で次亜塩素酸イオン99.7%、非解離型次亜塩素酸(以下 次亜塩素酸分子)は0.3%という比率となっております。理容店における消毒法において通常は0.01%水溶液での浸漬消毒を義務付けられておりますが、血液付着時は0.1%水溶液を指定されてます。0.01%(100ppm)時はpH8.75で次亜塩素酸イオンは95%、次亜塩素酸分子は5%の比率となります。0.1%(1000ppm)時はpH9.5で次亜塩素酸イオンは99%、次亜塩素酸分子は1%です。しかし、次亜塩素酸分子本来の強力な酸化作用をもつ次亜塩素酸分子HClOは、pHの関係で通常の0.01%溶液の方が多く存在します。よって法定消毒において塩素系漂白剤を用いる消毒とは、次亜塩素酸イオンの酸化作用(漂白)による細菌やウイルスの蛋白質分解による溶菌および不活性化作用となると思われます。塩素系漂白剤においては水酸化ナトリウムも含まれますが、pHの調整を目的として「アルカリ性水溶液中の次亜塩素酸分子は塩素を発生しない」という安全につながるために使われております。アルカリ性において汚れが膨潤、軟化するために汚れが落ちやすくなる作用は2次的な目的と思われます。注意すべきは「混ぜるな危険」との表記のように、酸性の薬液を混ぜてpH3以下になると塩素ガスが発生して危険です。またアルカリ性域においては鉄は溶液に溶け出さない為に、次亜塩素酸イオンOCl-による酸化作用により鉄表面に酸化鉄(赤錆)が付着します。その為に、理容店においては剃刀や鋏などの金属製の消毒には不向きと考えます。
 
二液式(混合式)での生成方法は、次亜塩素酸ナトリウムに酸性の塩酸や酢酸などを混ぜて弱酸性域にします。一般的に市販されている弱酸性次亜塩素酸水はこれに当てはまります。生成段階では使用する二液を混合する為、分量を間違えたりしてpH3以下になると塩素ガスが発生し危険です。さらに、二液それぞれを販売することは国は認めておりますが、混合した状態のものは「化学反応中」であるという判断から、罰則規定はないが販売は認めていません。溶液中の塩酸は、鉄と反応すると水素イオンを発生しながら塩素が鉄と反応して塩化鉄として緑色に呈色させます。そのような背景から塩酸ではなく酢酸を使用したり、製品の有効濃度自体を低く抑えたりしているものが多くなります。ちなみに、酢酸を使用して高濃度のもの生成すると独特な強い香がする為、やはり低濃度の製品が多いです。一般家庭における細菌やインフルエンザ/ノロウイルス対策として使用するには問題がありませんが、濃度などの関係から理美容店における消毒使用には不向きと考えます。二液式もしくは複合式と生成方法が製品に明記されていない場合が多いですが(薬事法規定外の為)、生成後の成分にナトリウムが含まれている製品は二液式生成法と考えて良いでしょう。
 
電解式での弱酸性域の生成方法は、希塩酸を電気分解して次亜塩素酸分子を生成するものです。塩酸と水を電解すると、塩酸が水素、塩素イオンに分解されます。そして塩素イオンが水と反応して次亜塩素酸分子となり、水素はガスになります。ただし、非常に不安定で経時変化/紫外線で分解されてしまうために、生成器からでた弱酸性次亜塩素酸水をボトリング保存後に使用するには向きません。また分解速度は濃度が高くなるほど、早くなる傾向にあります。製品として販売されている場合もありますが、容器に製造年月が記載されているか否かが重要な事になります。厚生労働省(食品)が認めている弱酸性次亜塩素酸水pH 2.7から5.0、有効塩素濃度 10から60 mgこれはあくまで食品における消毒に限られている為(大量調理マニュアル)低濃度であると考えらますが、これをそのまま理容の消毒法には「厚生労働省が認可した」とすり替えてしまうのは全くの勘違いになります。理容の消毒には低濃度の10ppm~60ppmでは適しません。食品の消毒と、理容現場の血液などのタンパクや感染症によるウイルスなどの消毒を混同してはいけません。エタノールでも50%以下と76.9%から81.4%の濃度では、その殺菌作用は全く異なるように塩素系も同様に知識の上での使用が大切になります。歯科医院などでは電解生成器を導入して、生成直後の弱酸性次亜塩素酸水を消毒用に使用しておりますが、理容業界における消毒環境では濃度の面、生成器導入などのコストを考えると実用的とはいえません。理美容組合によっては業者が設置した生成器から、低濃度弱酸性次亜塩素酸水を無料配布している場合もあります。その弱酸性次亜塩素酸水は清掃や超音波加湿器などへの使用には適しておりますが、特性上早めに使用しなければいけません。濃度の関係からも、理容室での剃刀など複合消毒に用いるのは不向きとの認知を徹底することが大切となります。
 
理容店における複合消毒システムで洗浄消毒剤として使用するのは、緩衝式生成法のフィリオ30という高濃度の弱酸性次亜塩素酸水であり、国際特許出願中のイオン交換フィルターから生成されます。これはナトリウムを水素に変換させるイオン交換フィルター独自の特性によるものです。この特許出願中生成法の為に、この生成法による高濃度弱酸性次亜塩素酸水こそ、のフィリオ30(サーティー)となります。この特許生成法の為に、この生成法による高濃度弱酸性次亜塩素酸水はフィリオ30以外には存在しません。生成方法としては次亜塩素酸ナトリウムと水をイオン交換フィルターにて濾過させる事により、高濃度の次亜塩素酸水が生成されます。フィルターで不純物も濾過されるために、純度/濃度が高い次亜塩素酸水の状態になり、結果的に弱酸性域で安定いたします。フィリオ30における検査として第三者検査機関である財団法人北里環境科学センターに株式会社スカイレインボー社が依頼した結果は以下の通りです。「C型肝炎ウイルス(代替ウイルス:ウシ下痢症ウイルス)/試験有効塩素濃度414ppm/作用不活性化効果時間30秒」「血液汚染器具の除蛋白効果実験/試験有効塩素農奴330ppm/作用効果時間30秒」「血液負荷かけた芽胞菌(枯草菌)/試験有効塩素濃度330ppm/作用溶菌化効果時間1分」これら検査結果において他生成法および低濃度の弱酸性次亜塩素酸水には、次亜塩素酸分子以外の不純物が多いなどの理由で参考にはなりません。また、これから述べる次亜塩素酸分子の酸化(溶菌/不活性化)プロセスにおいても、あえて不純物の少ない高純度/高濃度500ppmの弱酸性次亜塩素酸水であるフィリオ30におけるものと考えます。
 
蛋白質を変化させる働きの酸化とは、電子を失う化学反応のことです。次亜塩素酸 分子HClOが酸として働く時には、水素 Hの電子を切り離します。この時、次亜塩素酸イオン ClO-に比べて高反応状態であるラジカル状態の一酸化塩素ラジカルClO・になることがあり、ラジカルが反応する際には、さらにお互いに引き合う為に爆発的な反応状態になります。塩素ラジカルは瞬時に反応して酸素ラジカルから離れ、塩素分子 Cl²となります。そして、酸素ラジカルは蛋白質から電子を奪い酸化させて、その性質変化および細菌やウイルスにとっての機能を停止させます。その後、水素イオンと反応して水 H²Oとなるわけです。この爆発的な酸化作用は、日常的現象に例えるとすれば燃焼反応に例えられます。
 
フィリオ30の強い消毒力と酸化力は、高濃度で存在する次亜塩素酸分子 HClOにあります。pH6域において多く存在する次亜塩素酸分子 HClOは電荷を帯びておらず、分子型であるために細菌における細胞膜やウイルスにおけるエンベロープなど、脂質二重膜を通り抜けることができるのです。ゆえに細菌やウイルス内部において、活動をする上で重要な蛋白質を酸化させて性質変化および、機能を停止させることができます。細菌においては、代謝機能を司る酵素(蛋白質)などの重要な働きをする蛋白質を酸化し変化させる為に、死にいたります。ウイルスは、寄生する細胞内で自身を複製する際に重要な働きをするヌクレオカプシドを構成する蛋白質を酸化させ性質変化および分解してしまうので、核酸を複製する事ができず、不活性化状態になります。ちなみに、アルカリ性域で多く存在する次亜塩素酸イオン ClO-などは、脂質二重膜を通り抜けられないために、表面の蛋白質を酸化させて変化させるに止まるので、消毒対象体によっては十分な効果が得られません。次亜塩素酸イオンは鉄表面に酸化鉄(錆)を付着させますが、次亜塩素酸分子の場合は鉄などに対する酸化作用は強く反応し溶出させるがゆえに、表面に酸化鉄(錆)を付着させず溶液内でも飽和状態になるために大きく進行はしません。ただし剃刀の刃(替刃)に関しては、鉄の溶出と共に刃先研ぎ面に影響が出る為に、長時間の浸漬には向きませんので注意が必要です。
 

・最後に


フィリオ30は「魔法の液体」ではありません。その特性を良く理解し、次亜塩素酸分子そのものの特性も理解しなければなりません。また「消毒」という世界も細菌やウイルス内の蛋白質の性質変化から、最終的にはその活動そのものを抑制もしくは停止させる作業です。ただし、それは我々人間にも同じ事を意味し、環境にも大きく影響します。「強すぎず弱すぎず、環境にも人にも優しい。されど容易で効率は良く、効果も大きい。」この矛盾したパワーバランスに近いのが、緩衝法という生成方法で創られた高濃度弱酸性次亜塩素酸水「フィリオ30」ではないかと思います。
 
以上が理美容店における複合消毒システムと塩素系消毒剤の概略です。理美容店は、理美容師という人が御客様という人に対して間接的、技術によっては直接的に素手で接しながら施術する仕事です。細菌やウイルスにおける空気感染、飛沫感染、血液感染など全て完璧に防ぐのは無理である環境下と言わざるを得ません。完全な衛生環境を守る事は、実は容易と思います。その方法とは、「触れるもの」「使うもの」「関わるもの」全てを使い捨てにすれば良いのです。それは極論であり公衆衛生業における「業」を否定する事になります。
 
「業」として「消毒」に大切なのは「知識」「システム」「コスト」であり、「継続」につながります。それが「複合消毒システム」であり、店内における重大な微生物・ウイルスなどのよる感染を防ぐことができると考えております。
 
店内感染は、理美容師と御客様双方の問題であり、店舗、地域、業界全体の問題へと広がります。防ぐために一番の武器となるのは個々の知識であり、知識に基づいての実行しかありません。このことは国家資格者として公衆衛生業務に携わる限り、忘れてはいけない事だと思います。【衛生は「守り」じゃない、「攻め」である。】それが複合消毒システムとしたいと考えます。最後になりますが、衛生向上活動をされている沢山の理容師/関係者の皆様の御意見を頂き、編集作成させて頂きました。


・公衆衛生である理美容店における複合消毒システムの考察 製作者


本文及び複合消毒システム監修・埼玉県理容師 藤井実/化学監修・静岡県理容師 丹下育也/本文監修・東京都理容師 柏原和義/複合消毒システム推奨・東京都理容生活衛生同業組合渋谷支部/関係サイト・re-yousi.com